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これから自院にマウスピース型矯正装置を取り入れる、または取り入れつつある先生方へ

2022年 06月 14日

矯正

〜マウスピース型矯正装置による治療をおすすめしない10の理由〜

*歯科医師向けの内容となります。

最近、一般歯科医院でマウスピース型矯正装置を取り入れる病院が非常に増えています。

経営セミナーなどでも導入を薦められ、

アライナー型矯正装置に関する臨床セミナーも盛んに行われ、

人気を博しているようです。

実際私の周りでも、

積極的に導入する一般歯科医の先生が増えており、

質問をよくされるようにもなりました。

 

一方で、あまり負の部分については触れられることが少ないようなので

本ブログを書いてみました。

 

但し、私は矯正専門医で、矯正専門医院として開業してますので

利益相反の点からも、

ポジショントークとなってしまうことは否定できません。

あくまで一意見として参考になれば幸いです。

 

最初に結論を申し上げますと、

現時点において一般歯科の中にアライナー型矯正装置を安易に取り入れることはおすすめしません。

 

以前は、矯正治療をされる方の裾野が少しでも広がればという思いで、

一般歯科医の先生方が矯正治療を行うことを勧めていました。

しかし、多くの治っていない症例を見るにつれ、そのことを後悔するようになりました。

 

おすすめしない理由は、矯正の経験や知識、技術といった点からだけではありません。

これを読まれている先生自身の精神的、身体的負担、さらに経営の面からもおすすめしないのです。

 

順を追って理由を説明します。

 

①矯正診断は難しい

矯正治療で最も大事な勘所は、ワイヤーを曲げるなどの技術ではありません。

矯正診断です。

昔から、矯正治療のうち7割は矯正診断が占めると言われています。

そして、矯正治療の最も難しいポイントであるのです。

しかも、この診断は、知識だけでは難しく、多くの症例の経験が不可欠です。

 

②矯正治療の難易度の判別も難しい

よく、アライナー型矯正装置を行うときに、適応症例か判別することが大事と言われます。

しかし、①と同様の理由で、矯正治療の難易度を診断時に判別することは非常に難しいことです。

大学歯科病院のすべての症例の診断を行っていた先代の教授の言葉をよく思い出します。

”私は長年矯正診断を行ってきたが、この症例が治るかどうかはいまだに判断がつきません。

しかし、治らないと思われる症例はようやく判断がつくようになってきました。”

私も矯正臨床を15年以上行ってきましたが、

治る症例も治らない症例も自信持って判断できません。

しかし、どんな症例であっても患者様と最後までお付き合いしていく覚悟だけは強く持っています。

 

③アライナー型矯正装置の治療は難しい

アライナー矯正の移動様式は、ワイヤー矯正とは全く違います。

そのため、ワイヤー矯正を習得した先生であっても、

同じ考え方で移動しようとすると必ず失敗します。

 

私たち矯正医の間でも、

アライナー型矯正装置はワイヤー矯正より難しいよねとよく話しています。

アライナー矯正は、最初に資料を採得すれば、

誰でも、針金を曲げることなく歯を動かすことができます。

送られてきた歯が動いているシミュレーションを見ると、

簡単に矯正治療ができるような錯覚を覚えてしまいます。

しかし、よく言われるように、

コンピュータ上でできるシミュレーション通り全く同じように歯が動くことはありません。

そこには、まだ治療方法として十分に吟味されたマニュアルのような方法論はまだ確立されていません。

そのため、矯正特有の解剖学に基づいた生体力学の深い理解と考察が不可欠となります。

 

④矯正治療のフォローアップは難しい

これは、ワイヤー矯正と同じで、

矯正移動の反作用で想定外の移動が出てしまうと、

そのフォローアップは通常の矯正治療よりむずかしくなります。

つまり、アライナー型矯正装置に関する知識と技術と経験が通常以上に必要となります。

想定通り動いていない症例は、どんどん蓄積していって、

先生たちを苦しめることになっていきます。

最近は、こういった先生方を、本当にたくさん見るようになりました。

 

⑤小児矯正はもっと難しい

小児矯正はよく簡単と思われがちですが、

成長という不確定な要素があるため成人矯正より難しい治療になります。

小児矯正を、100%は無理だとしても、

90%以上の確率で成功できるという先生はいないのではないかと思います。

先日のアメリカ矯正歯科学会でも、

小児矯正を専門的に行なっている先生が、

私の1期症例の成功率は63%ですと話してました。

もし、日本矯正歯科学会のガイドラインに目を通したことのない先生は、

必ず、ご一読することをおすすめします。

日常的に目にする多くの小児矯正の症例に対し、否定的であることに驚かれると思います。

 

⑥診療外の時間がかかる

アライナー型矯正装置はチェアタイムが短い治療です。

そのため、ユニット専有率が少なく高収益な治療と言われています。

しかし、実は診療時間外の時間にやることは膨大にあります。

診断、シミュレーション作成、治療中の写真チェック、シミュレーションの修正などは非常に時間がかかります。

アライナー矯正の患者さんが増えてくると、帰宅時間が深夜2時、3時になってしまうなんていうのも、

アライナー矯正を行う先生の中では、あるあるの話です。

 

⑦勉強量が膨大!

まず、アライナー型矯正装置を取り入れるにあたり、セミナーを受ける先生が多いか思います。

これからそのようなセミナーを受ける先生の多くが勘違いしているのではないかと危惧するのですが、

セミナー(長期なものや超高額であっても)を受けただけで、アライナー型矯正装置がマスターできるわけではありません!!

ようやくスタートラインに立ち、これから勉強がはじまるといっていいのかと思います。

受講直後は確かに何でもできるような気持ちになるかもしれません。

しかし、しばらくすると、難しいことに気づき始め、さらにセミナーや研究会に参加することになります。

私自身も、時間的に参加できるセミナーや研究会には積極的に参加しており、

膨大な時間や金額(数百時間、数百万円、おそらく、それ以上!)を費やしてきました。

アライナー関連の学会誌や書籍なども常に購入し拝読するようにしています。

それでもなお、難しいアライナー型矯正装置の臨床に悩みながら、戦い続けているのが現状です。

 

⑧後戻りの管理が大変

歯科矯正学の有名な先生のセリフで、

もし保定管理を請け負ってくれるなら、私は治療費の半分をそれに支払う

というものがあります。

そのくらい矯正治療の後戻り管理が難しいという話です。

さらにアライナー型矯正装置では、ワイヤー矯正より後戻りの再矯正を希望される患者様が多いと言われています。

アライナーはワイヤー矯正より違和感や痛みが少ないため、わずかな後戻りであっても再矯正を気軽に希望されるのです。

 

⑨膨大なコスト

従来は、シリコン印象や写真があれば、アライナーを発注することができました。

しかし、現在では、3Dスキャンによる印象が一般的となり、口腔内スキャナーが必要となってきました。

正確な移動距離を測るためにはCTが必要とも言われてきてますし、

より突き詰めていきますと3Dプリンターや専用ソフトなども欠かせなくなってきます。

それらの購入費はもちろん、月の保守管理料だけでも当院では20万円以上かかっているのが現状です。

研究会などの仲間とも話したりするのですが、ほとんどの先生が採算取れていないとこぼしています。

それ以外にも、セミナーなど情報の習得に高級国産車購入以上を金額を費やしてきたことは前述の通りです。

 

⑩蓄積される精神的負担

矯正を始めたばかりの時は、病院の収益も上がりますし、

治療計画もうまくいくと信じて進めていくため、

楽しくて仕方ないと思います。

しかし、次第に想定通り動かない症例が溜まり始めます。

症例数が伸びている時は、

イケイケのですが、

次第にリファインメントに追われる日々が来ます。

数年後には、まだ治らないのかという患者さんのクレームが次々と来るようになります。

まだあります。

先述したように後戻りです。

治療が終了した患者様が増えるということは、

後戻り管理の患者様が増えるということでもあるのです。

真面目な先生ほど、思い悩み、

うつ病になってしまったという先生の話というのは、

よく聞く話であったりします。

実は私の知る先生も、

うつ病になり、診療ができなくなったという話を聞いたことが、

本ブログを書くきっかけともなっています。

 

 

 

以上、負の部分だけを列挙してきましたが、

私が言いたかったのは、矯正臨床にはちょっとした覚悟が必要ですということです。

 

矯正臨床は一つひとつ丁寧に行っていけば

患者様の健康に貢献し、とても感謝される素晴らしい治療となります。

 

毎日、深夜までと書きましたが、

逆に言うと、それらが苦にならないくらい、

楽しくエキサイティングな分野であると言えると思います。

 

ぜひ、一緒に勉強していきましょう!!!

港区の矯正歯科専門医院 「白金高輪矯正歯科」へ

 

・・・最初の結論と変わりましたね😅

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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