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次世代のアライナー矯正<ダイレクトプリントアライナー>

2022年 07月 05日

お知らせ

先日、アメリカ矯正歯科学会がマイアミで開かれ、

そこで話題となったダイレクトプリントアライナーについてご紹介できればと思います。

Direct Print Aligners: Disruptive Technology

という題名で、

セントルイス大学のDr. Ki Beom Kimという先生が発表されたものです。

題名のDisruptive Technologyとは、

破壊的技術と訳されますが、

新しい価値基準のもとで優れた性能を発揮する技術のことを言います。

よく例として、iPhoneやUber、古くは自動車や蒸気機関などが挙げられます。

 

それではどんな技術なのでしょうか?

 

Direct Print Aligner

一言でいってしまうと、直訳そのまま、アライナーを直接、プリントアウトしてしまう技術ということになります。

 

これまでは、アライナーを製作する時には、

①移動した模型を設計する

②模型を3Dプリンターで出力する

③アルコール洗浄

④2次硬化させる

⑤アライナー用シートをできた模型に加熱して押し当てて形づくる

⑥模型からシートを外し、適切な形にカットする

⑦研磨する

という7つの工程が必要でした。

アライナーは、多いと1症例でも何十枚となりますし、それが上下で必要です。

特に⑤から⑦の工程は、とても煩雑で(長くやっていると手も痛くなってきます💦)、

手作業が中心なため、時間もかかります。

 

ところが、この技術を使うと、

①アライナーを設計する

②直接プリントアウトする

③2次硬化させる

と3つの工程のみで、終了してしまうというのです。

そのため、ボトルネックとなっていた手作業が大きくカットされるため、

より早く、正確に作製することが可能になると思われます。

 

また、これまではアライナーと同じ枚数だけ模型を出力していたので、

その際の大量の模型は、そのまま大量の廃棄物となります。

環境にも当然良くないですし、

模型を出力しなくていいということは、コストカットにもつながります。

それだけではありません。

正確性においても、他のアライナー素材より優れているという論文まで発表されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35466087/

特に、これまでのアライナーは、熱したシートを圧接または吸引して形づくるので、

アタッチメント周辺の角の部分はどうしても丸くなってしまいますが、

ダイレクトプリントでは、これが忠実に再現することができます。

 

また、耐久性にも優れ、使用に伴う変色も極めて少ないとの話です。

 

そして、最も目をひく面白い機能が、形状記憶機能です。

お湯などで温めると非常に柔らかくなり、

ぐにゃぐにゃに変形することもできます。

しかし、冷えるに従って元の形状に戻っていくのです。

さらに、口の中の温度では、

強く当たる部分も弱く当たる部分にも、

一定の力がかかり、

常に生体に最適な力がかかるというのです。

 

これらのメリットが実際に臨床に生かされ、

安全性と実効性が実証されるなら、

今後のアライナー業界の大きなゲームチェンジャーになるかもしれない、

そんなことを考えさせるエキサイティングな発表でした。

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